図書だより
平成29年12月15日 秋田県立視覚支援学校 図書委員会発行 No.7
いよいよ今年も残すところ、2週間となりました。一年がたつのは、早いものですね。今年は、あなたにとってどんな年でしたか?
さて、ここで年末にまつわる俳句を二句・・・。
◆恋文は短きがよしシクラメン 成瀬(なるせ)櫻(おう)桃子(とうし)
「恋文は短いのがいいね、シクラメン・・」
シクラメンは、クリスマスの頃店頭に並びますが、季語は春。誰かに恋文を送ってみたくなる季節です。
◆たき火して年の行方を見てをりぬ 森(もり)澄(すみ)雄(お)
「たき火をして、新しい年の行方(ゆくえ)に思いをはせている」
たき火は、冬の季語。たき火の炎を見つめながら一年を振り返り、来るべき新年に思いをはせる、そんな時期になりました。
カズオ・イシグロさん ノーベル文学賞受賞!
今年はノーベル文学賞を日系英国人 カズオ・イシグロさん(63歳)が受賞しました。12月7日のストックホルムでの受賞講演では、「貧富の差や差別問題など分裂の危機が増す社会での文学の重要性や、次世代の作家への期待を語った。(中略)長崎市で生まれて5歳で英国に移住したことや、自らの作家人生について振り返った。」とのことです。また、昨年のノーベル文学賞受賞者であるボブ・ディランなどの音楽や、映画好きで古い映画(日本映画)からも影響を受けたと語ったそうです。(新聞より引用)
秋田駅近くの書店には、出世作となった「日の名残り」や、昨年TBSで、綾瀬はるか主演でドラマ化された「わたしを離さないで」などの本が並んでいました。
実は図書室に、カズオ・イシグロさんの「忘れられた巨人」(遠い地で暮らす息子に会うため、旅に出る老夫婦の物語。中世の英国が舞台)のDASY図書があります。プレクストークがあれば、どなたでも聞くことができます。図書室専用プレクストークもありますので、借りたい方はどうぞ声をかけてください。
冬休み、何か本を読んでみたいですね。では、楽しい冬休みをお過ごしください!
冬休みの本の貸し出しについて
○一度に借りられるのは、一人5冊まで。
○貸し出し期間は、冬休みいっぱいです。
○学校が開いていれば、いつもと同じように貸し出しができます。
★図書委員によるおすすめの本コーナー
今月は中学部1年 I・Mさんです!
「トラップ一家物語」 田中史子 著、木村光雄 絵
トラップ家には、7人の子どもたちがいましたが、妻を亡くしたトラップ氏のしつけがきびしく、子どもたちはいつも父親をこわがっていました。しかし、ある日家庭教師としてやって来たマリアの明るさや、やさしさに、子どもたちは少しずつ心を開いていきます・・・。
とってもいいお話です。ぜひ読んでみてください。
※後に、マリアの自叙伝(じじょでん)を脚色してつくられたのが、映画「サウンド・オブ・ミュージック」です。
「大空社出版」より福祉関係の本を80冊いただく!
東京の「大空社出版」より、叢書(そうしょ)「盲人たちの自叙伝(じじょでん)」全60巻と、
「シリーズ福祉に生きる」(既刊70巻のうち)20巻、計80巻をいただきました!
前者は、自らの視覚障がいを超え、偏見(へんけん)や差別に立ち向かった先覚(せんかく)者や、様々な環境の中で一人の人間として精一杯生きた人々の記録が載(の)っています。例をあげると、21巻 日本ライトハウスを設立した「岩橋(いわはし)武夫(たけお)」、34巻 国産盲導犬第1号となった「チャンピィ」などです。また、後者は、日本の福祉を支え築き上げてきた人々の伝記で、例をあげると、5巻は、知的障がいの子どもたちの教育に一生を捧(ささ)げた「糸賀(いとが)一雄(かずお)」、8巻は、肢体不自由児教育の創始者といわれている「高木(たかぎ)憲(けん)次(じ)」についてです。
◎大変貴重な本です。福祉や教育について興味をお持ちの方や、先人の人生に触れてみたい方は、ぜひご一読ください!