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クローバー2号(5月26日)

視覚障害と調理① ~身近な物で計量できちゃうの巻~

【牛乳パック】
牛乳パックで米と水が計れます。1Lの牛乳パックを3.5㎝の高さに切ると1合になり、牛乳パックを4㎝の高さに切ると1合を炊く水の分量になります。目盛りが読み取りづらい人ても大丈夫!
【ペットボトル】
500ccのペットボトルの口すれすれまで米を入れると3合になります。280ccのペットボトルの口すれすれまで入れた水2本分で3合の米を炊くのに必要な水の量になります。
【自分の体のパーツ】
歩幅や自分の手の長さ、親指から小指までの長さ、だいたいの指の長さを覚えておくと、スケールがなくても物の長さを計れます。例えば手の親指の長さは指先から付け根までだいたい5cm。
※味噌汁一人分
味噌・・・約大さじ1程度
ネギ・・・約5cm
豆腐・・・4分の1丁
一人分の量を知っておけば、あとは人数分をかけ算するだけ!慣れてきたら量を加減して、自分の好みの味に近づけることもできますね!
次号は「視覚障害と整理整頓」です。視覚障害のある方々が、日常生活で実際に工夫していること中心にお伝えします。お楽しみに!!

 

学習と眼球運動
「子どもが板書を書き写すのに非常に時間がかかる。音読の時に同じ所を繰り返し読んだり、読み飛ばしたりする。目が悪いのでは…?」という相談を受けることがあります。『目が悪い』の『目』とは、『眼球』というよりは見る機能である『視覚』のことを指しているのでしょう。視覚の主なはたらきには、視力、視野、眼球運動の3つの要素があります。眼疾患がなく、視力、視野に異常がなくても、眼球運動がうまくできない子どもが多くいます。
眼球運動には、
①指し示したところに素早く正確に視線を移動させるジャンプ
②飛んでいる虫を目で追うような滑らかな追視
③近くのものを見る時に両目を内側に寄せる寄り目
の3種類がありますが、書写や音読に苦労している子どもは、主に①のジャンプする動きが不正確な傾向が見られます。
 眼球運動を制御するのは脳であり、その機能は、全身を使ったダイナミックな遊び、1点に集中してじっと見つめるような遊び、手と目が大きく動く遊びのバランスの中で育つように思います。ブランコやボール遊び、お手玉、けん玉、カルタ、折り紙等昔ながらの遊びは、バーチャル映像のゲーム機では得られない“見る力”を自然に育むので、幼児期にたくさんの遊びを経験させましょう。
 とは言っても、今現在、学習場面で困っている子どもたちはどうしたらいいのでしょうか。板書書写や音読で苦労しているのは、見るべきところを毎回探さなければ到達できなかったり、自分がどこを見ていたのか分からなくなったりしているためと思われますので、視線の移動が最小限で済むようにする工夫や、視線を誘導するための目印を作る工夫が必要かもしれません。
※具体的な工夫や支援の方法については次号から連載いたします。(田中敦子ORT)
 

書籍紹介
「同行援護ハンドブック―視覚障害者の外出を安全に支援するために」
著:松井奈美日本医療企画 価格:2,160円
 本書は、「同行援護」制度や、情報支援と情報提供、代筆・代読をはじめとする「同行援護」に必要な知識や技術をまとめています。
 視覚障害者の外出をサポートする専門職に加え、家族介護者やボランティアなど、同行援護や移動支援にかかわる多くの方々に活用していただけます。

「白杖歩行サポートハンドブック地域で暮らす視覚障害者のために」
著:山田幸男、大石正夫、霜鳥弘道読書工房 価格:1,600円
 本書は、白杖歩行をアシストする、いわゆるアシスタントの勉強会のためにつくられたテキストです。
 伝い歩きや方向のとり方などの移動方法、白杖歩行の実際の方法を解説するほかに、視覚障害者に多い転倒や骨折を防ぐための基礎体力作りについてや、著者らが考える地方における白杖歩行訓練のサポートのあり方について紹介する本です。

「小・中学校における視力の弱い子どもの学習支援~通常の学級を担当される先生方のために~」
著:日本弱視教育研究会企画、香川邦夫編、千田耕基編 価格:2,200円
 弱視児をどう理解し支援するか、通常の学級を中心に,学習環境の整備や各教科等の指導方法の工夫などが、具体的に紹介されています。

 

校内のプロフェッショナル~視覚支援指導員~
 今年度、校名が「秋田県立盲学校」から「秋田県立視覚支援学校」に変更となりました。これまで、医療や福祉関係の方々から時代の要請にあった校名にできないのかという意見を数多くいただいていたことも事実ですから、この度の校名変更の持つ意味は大きなものです。ですから、この機に改めて県内の視覚に障害のある方々やその関係の皆様に、本校の教育内容と役割について一層の理解を深めていく努力が必要とされます。
 このような重要な時節に非常勤職員の「視覚支援指導員」として新たに配置されました。然るに、たいそうな職名をいただきながら、業務内容として具体的に何をどうするのかについては現在試行錯誤の中にありますが、これまでの経験から感じてきたことを述べさせていただきます。
 第一に、障害のある方は、自身の視知覚の状態を家族も含めて他人に説明することは非常に難しいということです。また、周囲の人たちも理解することが難しく、相乗的に理解不足の連鎖が起きやすいと思えます。このことにより、障害のある本人が、学校や職場、あるいは地域の中で孤立していく原因となっている可能性が大きいということを感じています。
 次に、病気や眼の状態、生活のことなどについて相談する場所が身近になく、一層孤立感を募らせる結果となっているということが考えられます。
 これまで、本校では「ロービジョン支援センター」を基盤として組織的に相談支援活動を行ってきましたが、啓発活動が十分ではなかったことから、その存在を十分に周知することができなかったという面も否めません。
 そこで、これまで以上に医療や福祉、療育、労働などの関係機関と連携と協力体制を構築することが求められています。また、その協力体制を基に、相談者が居住する地域の中で具体的なネットワークづくりを進める必要があります。そのためにも「スマートサイト」」の立ち上げにも積極的に取り組んでいくことが重要だと考えています。
 四月からの経過の中で、「地域におけるネットワークづくり」の事例と、「スマートサイト」立ち上げについても医療との連携の方向性が見えてきました。今後それぞれの具体化に向けて皆様のより一層の御協力をお願いいたします。
「スマートサイト(SmartSight)~秋田版」とは?
見えない・見えにくいことでお困りの方々が、適切な指導や助言、訓練が受けられるように、秋田県下の施設や団体を紹介すること(視覚支援指導員 中村信弘)

 

御相談のお問い合わせは 秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
相談担当 菊地雄平・佐藤加奈子・長崎雪子・落合久貴子
 

本文はここまで

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