これらの「不自由」は、不可能を意味するのではありません。
視覚認識に影響を及ぼす見えにくさの主な状況は次のとおりです。多くの弱視児は、見えにくさの要因を複数抱えており、見え方の個人差を大きくしています。
<正常な見え方>
|
<白濁または霧視>
解像度の低い見え方
|
<暗順応障害>
薄暗い所に目が慣れず
暗く感じて見えにくい
|
<羞明(しゅうめい)>
まぶしくて見えにくい
|
<正常な見え方>
|
<中心暗点>
見ようとする所が
見えなかったり
歪んで見えたりする ため文字や表情が
分かりにくい
|
<視野狭窄>
見える範囲が狭い
境界は意識されず
狭いことに
気付かないことも
|
|
疾患の特徴 |
症状の特徴 |
緑内障 |
眼球内部からの圧力により視神経が圧迫され、視野が欠けてくる病気。日本人は眼圧が高くないのに発症する「正常眼圧緑内障」が多い。先天性のものもある。欠けた視野や低下した視力は、治療によっても回復しないため、早期発見・早期治療が必要。 |
不規則な形で視野が欠けたり、部分的に見えない部分ができたりするが、自覚症状はほとんどない。進行すると視力も低下する。 |
糖尿病網膜症 |
糖尿病の3大合併症の一つ。高血糖が続くことで網膜の血管が詰まったり傷ついたりし、網膜の機能が低下する。進行すると治療によっても視力の回復は難しいため、早期からの定期管理が必要。 |
視力低下の自覚症状が出た時には、既にかなり進行している。コントラスト低下、羞明(眩しさ)も起こる。 |
黄斑変性 |
黄斑部(中心部分の網膜)が変性し、見ようとする場所が見えにくくなる。 |
見たいところが見えなかったり歪んで見えたりする(中心暗点)。周辺は普通に見えるので移動はできるが、文字や人の表情がわからなくなる。 |
網膜色素変性 |
網膜の光を受け取る細胞が変性し、徐々に視野が狭くなる。 |
薄暗いところで見えにくい。視野が狭くなると物や人にぶつかったり、落とした物が見つけられなかったりする。知らない場所では移動が難しくなるが、視力が保たれていれば読書は可能。進行すると視力も低下する。 |
未熟児網膜症 |
網膜血管の未熟性による網膜疾患。自然に治まることが多いが、網膜剥離を起こして重篤な障害を残すこともある。 |
視力、視野の障害のほか、斜視や近視が多い。偽斜視(見かけ上の斜視)のこともある。 |
網膜剥離 |
疾患や外傷などで網膜が剥がれる。 |
剥離した網膜に対応する視野が欠損する。網膜の中心部が剥離すると高度の視力障害を残す。 |
白内障 |
目の中にあるレンズ(水晶体)が濁る。先天性の場合は乳児期からの治療・管理が必要。 |
視力障害、羞明。手術により水晶体を取り除いた場合は、代わりに人工レンズを入れるか、コンタクトレンズまたは眼鏡で矯正する。 |
●視覚障害の症状に応じた配慮点
症状 配慮点
視野の中心が見えにくい
視野が狭い
羞明(眩しい)
暗いところで見えにくい