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R6クローバー2号

 弱視児の学習環境づくり
 弱視の児童生徒が在籍している学校においては、「見やすく学習しやすい環境を整える」ことが重要です。弱視児が十分に力を発揮できる学習環境づくりのポイントを紹介します。
 
 ~見やすい環境の整備~
 ① 明るさの調節
 弱視児の見え方は明るさによって大きく影響を受けます。また、その影響は疾患の種類によって様々です。教室では、ブラインドカーテンや遮光カーテンで太 陽光を遮り、照明を利用することで、室内における明るさを調整します。 
 ② 道具の選定
 弱視児は視距離が短いため、机の面に顔を近づけて学習します。また、自分の頭や文字を書く手で照明の光を遮ってしまうことも多いです。疲れずに学習する姿勢を保てるように、適切な高さの机や椅子を使用するとともに、 見やすい角度になるよう、書見台や傾斜机を使用します。
 
 毎日使う学用品も、本人にとって見やすく使いやすい物を選ぶことで学習がしやすくなります。最近は、様々な工夫が施された学用品が市販されています。
 
 学用品選び(定規の一例)
①Raymay「見やすい定規」
 1㎝毎に異なる色付けがあり、 目盛りが読みやすい
②コクヨ「まなびすと」
 目盛りの線の長さが異なり、 数えやすい
③sonic「ナノピタキッズ」
 裏が滑り止め加工のため ずれにくい
 
 ~見やすい教材の工夫~
 ① 拡大
 手軽な方法はコピー機による拡大コピーですが、字間や行間のレイアウト、紙そのものもサイズが大きくなってしまいます。パソコンなどを用いて、文字のサ イズを弱視児の見え方に応じた必要な大きさにし、余白や行間にも配慮した拡大教材を作成します。
 
 ② 明確なコントラスト
 弱視児童にとってコントラストをは っきりさせることは、見やすさの重要な条件です。 右の写真は、図と地(教材と机)のコントラストへの配慮をしたことで、 教材が格段に見やすくなる例です。文字を強調するために網掛けをすることがありますが、図と地のコントラ ストが低くなってしまします。枠線で囲むか、アンダーラインを引く方が有効です。 
 
 ③ 単純化
 情報量が多い中から目的の情報を見付けることは困難なため、もとの図から不必要な情報を削除し、情報量を精選して、シンプルな資料を作成します。
 
 ※「みんなの地図帳」 (発行:帝国書院)より
 
 弱視児にとって必要な支援は、年齢や見え方によって異なります。今回紹介した学習環境づくりのポイントもいずれ弱視児自身が確認し自分で調整する力を身に付けていくことが必要です。社会生活に向けて効率よく「自分で」見る力を付けるための支援をしていきましょう。 ロービジョン支援センター「児童生徒支援班」では、見やすく学習しやすい環境を整えるための情報提供を行っていますので、お気軽にご相談ください。 参考文献:青柳まゆみ・鳥山由子 編著(2018) 「視覚障害教育入門ー改定版ー」ジアース教育新社 (文責:石塚さおり)
 
 理療科卒業生インタビュー
 地域の高校を卒業した後に、本校のあん摩マッサージ指圧師を養成する専門学科(以下、理療科)で学び、現在、マッサージ師として活躍する卒業生にお話を伺いました。
※理療とは、①あん摩マッサージ指圧、②はり、③きゅうの3つの療法の総称です。本校には、はり師、きゅう師を養成する専門学科もあります。
 
 【令和2年度卒業/20代女性 Sさん】
 Q1 高校の頃までに、見えにくさで悩んだことは?
 A:不便なことは、友達や先生方にフォローしてもらっていました。でも、自分の見えにくさを周囲の人に正しく伝えらえないもどかしさがありました。
 Q2 本校理療科に入学した理由は?
 A:最初からマッサージ師になろうと思っていたわけではないのですが、見えにくくても取れる資格があると聞いたので、取れる資格は取っておこうと思い入学しました。視覚支援学校で3年間勉強する中で、やりたいことが見つかった感じです。
 Q3 理療科のいいところは?
 A:見えにくいという同じ悩みを持つ人達と交流することができたことが良かったです。また、マッサ ージの知識や技術を学び、自分のやりたいことが見つけられたことも良かった点だと思います。
 Q4 日々の学習や生活はどうでしたか?
 A:授業では、分からないことは丁寧に教えていただけましたし、大変だけど無理のないペースを見つけて続けることができました。また、生徒同士が仲良くなりやすく、困っていたことを一緒に考えてくれたり、アドバイスしてくれたりしました。先生方からは生活面でもご指導いただきました。その大切さを実感できるようになったのは、社会人になってからですが、今、役に立っていると感じています。
 Q5 マッサージ師になって一番良かったことはなんですか。
 A:たくさんの患者様と関わる中で、正直辛いこともありますが、それ以上に患者様に「楽になった、ありがとう。」と声をかけていただいた時がマッサージ師をしていて良かったと感じます。
 Q6 これから視覚支援学校の理療科入学を考えている方に一言!
 A:視覚支援学校で学び、資格を取得することで、いろんな可能性が広がると思いますので、もし、見えにくさがあって、進路に不安があるとしたら、理療の資格にトライしてみてください。
   
 理療科卒業生の声をお届けしましたがいかがでしたか?今号には、理療科のリーフレッ トも添付しますので、理療科に興味がある方、詳しく知りたい方は、お気軽にご連絡くだ さい。 (文責:望月秀樹)
 
お問い合わせは秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへご連絡ください。
 
 相談支援担当  中村素子(教頭)、銭谷寿、佐藤加奈子、
                    畠山尚子、石塚さおり、武田幸美
 〒010-1409 秋田県秋田市南ケ丘一丁目1番1号
 TEL 018-889-8571  
 FAX 018-889-8575
 E-mail shikaku-s@akita-pref.ed.jp
 
 
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