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クローバー2号(6月21日)

『基本的な視覚支援機器』
 最初に、見えない、見えにくい方のための基本の視覚支援機器を紹介します。今後、徐々に便利な支援機器を紹介します。
① 拡大読書器
見えにくい方の読み書きを支援する補助具です。カメラで写した映像をモニターに大きく表示することができます。据え置型と携帯型があり、据え置き型では、可動式のテーブルを操作することで原稿を読み進めることができます。また、色だけでなくコンストラスト(明暗)を強調した白黒、白黒反転など、使用者の見え方に合わせて調整することができます。
②ルーペ
ルーペとは、レンズで物体や文字を拡大して観察する光学機器です。補助具の中では一番手軽で幅広い用途に使えるものです。手持ち型、置き型、携帯型などがあります。様々な倍率がありますが、ルーペは倍率が高ければ良いというわけではありません。高倍率であれば、大きく見えますが、見える範囲は狭くなります。低倍率なら視野が広くなるので、見たい物が探しやすくなります。見るものの大きさや使用目的に合わせて使うことが大切です。
③便利な視覚支援アプリ
無料で高性能! 目の前の物を教えてくれる!「Tap tap see」スマホアプリ(タブレットも可)
既存の読み上げアプリ「VoiceOver」などと一緒に使うことで、カメラで撮った写真などの情報を解析し、教えてくれるアプリです。年々画像解析度が上がり、周囲の状況を正確に伝えられるようになってきています。
使い方は簡単!  
①読み上げアプリを立ち上げる。
②「TapTapSee」を立ち上げる。
③認識したい物にカメラを向けて画面をダブルタップ。
④写真を認識して何かを教えてくれます。

 

手引き歩行の基本
視覚障害者を支援する際に必要な「手引き歩行」について紹介します。
安全に安心して歩けることが基本ですが、手引き者と相手の身長差により歩行の方法が変わることもあります。手引き者の動きが相手に伝わるよう、言葉かけとともに動きによる情報提供が必要になります。
〈基本姿勢〉
手引き者は、床面に対してまっすぐに立ち、上半身をひねらないようにします。誘導する腕(相手につかまってもらう腕)はまっすぐ体側にそって伸ばし、脇は開けないようにします。歩く手引き者は、常に2人分の幅を意識して移動します。速さは、相手のペースに合わせます。何かあるときは速度を落としたり、停止したりし、事前に情報を伝えます。 
〈狭い所を通るとき〉
誘導している腕(相手がつかんでいる腕)を体の後ろへ回し、手引き者と相手が縦一列になるようにします。通過する場所の中央を歩くようにし、狭い所であることを相手に伝えます。狭い所を通過したら腕を元の位置に戻し、広い場所に出たことを伝えます。
〈物に触れる方法〉   
相手が障害物に届く位置で立ち止まり、障害物に触れてもらいます。相手の足元を確認しながらゆっくりと通過し、通過したことを伝えます。
〈手引きを始める合図〉
相手の手を手引き者の腕に導く方法もありますが、相手の手の甲を軽くトントンとたたくことを手引き開始の合図にしておくと、相手が自ら手引き者の腕をつかむことができます。
参考図書:見えない・見えにくい子どものための歩行指導Q&A

 

福祉サービスについて  
障害のある方が、希望する暮らしを実現したり、日々の暮らしの中で困っていることを解決したりしていけるように、様々な福祉サービスを受けることができます。
例えば、次のような福祉サービスを受けることができます。
① 一人暮らしをしているが、家事が苦手なので出来ないところを手伝ってほしいのですが。
→家事援助として、調理、掃除、洗濯などの支援を受けることができます。
② 家から病院までの道と病院内を歩けるか不安です。付き添ってもらうことはできますか。
→通院介助を利用することができます。
③ こんなところに行きたいのですが、付き添ってもらえますか?
・ 市役所での手続きに
・ コンサートに
・ 子どもの授業参観やPTA に
・ 買い物に
→同行援護(視覚障害のある方への移動支援)を利用することができます。

 その他、様々な場面が想定されると思いますが、フォーマル、インフォーマルなサービスを組み合わせて解決できることがあるようです。障害福祉サービスを利用したい場合は、住民票のある市町村の障害福祉担当窓口、又は近隣の相談支援事業者にご相談ください。
 

「医師から視力回復の見込みないと告げられたとき」~視覚障害者Aさんの経験から~
本校職員のAさんは、県南出身で、網膜色素変性症による弱視の30代男性です。20代で身体障害者手帳を取得し、本校に入学しました。卒業後、筑波大学の理療科教員養成施設に進学、現在に至っています。
Q 将来、見えない、見えにくくなると医師から告げられたとき、一番不安だったことは何でしたか?
A 日常生活と仕事のこと。ただ、その時点で視力はそれほど悪くなかったので、すぐに困ることはなく、実感も湧きませんでした。
Q 見えにくくなって紹介されたものの中でよかったものは何ですか?
A 診断を受けた眼科で紹介された、網膜色素変性症の患者の会「JRPS」です。そこから、視覚障害者協会(以下、視障協)にもつながることができました。同じ境遇の人の存在を知り、話ができたことは、安心もできたし、ほんの少しですが自分のその後の生活への見通しも見えたように思えました。
Q 視覚支援学校につながるまでの経緯を教えてください。
A 眼科では、国立の函館視力障害センターを紹介されました(当時は、函館視力障害センターを勧めることが定石でした)。その後、JRPS や視障協とつながったことで、盲学校(現視覚支援学校)が湯沢でサテライト教室を実施していることを知り、サテライトから学校見学→入学へとつながりました。
Aさんもそうなのですが、弱視(ロービジョン)の方は、一見目が見えにくいようには見えません。徐々に視力が落ちていく方の場合、視覚障害者のシンボルともいえる白杖を使って歩くことに抵抗がある方が多いようです。障害者手帳取得から20年以上たったBさんも「このごろようやく障害受容できた。今までは、白杖をフルタイムで使っていなかった。」と話してくれました。晴眼者は「見えない、見えにくくなった」と聞くと、白杖や点字を勧めがちですが、それを受け入れるまでには、高い壁があります。私たち支援者は、支援する人の気持ちを考えながら寄り添っていく必要があると、再確認したインタビューでした。

 

御相談のお問い合わせは
秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
相談支援担当 長崎雪子・渡部麗子・佐藤加奈子・佐藤友紀子
 

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