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クローバー1号(4月28日)

「見る」ということ ロービジョン支援センター長 長崎雪子
 早いもので、本校の地域支援活動が「ロービジョン支援センター」という名称になってから7年目を迎えました。今年度も、関係の皆様の御指導、御協力をいただきながら、見えない・見えにくい方、保護者、関係者の皆さんへの相談支援や情報提供、そして視覚支援に対する理解啓発活動について取り組んでいきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 さて、「ロービジョン支援センター」の「ロービジョン」ですが、まだまだ耳馴染みのない方が多いようで、意味について質問されることがあります。ロービジョン(Low vision)とは、低視力や視野が狭いなどのために見えにくい状態のことをいい、「弱視」と訳されることもあります。本校のロービジョン支援センターでは、上記の弱視の方だけでなく見えにくい方全般を支援の対象者と考えております。
 見えにくさは、その人その人で違っており、見え方を踏まえた支援が必要となります。私たち視覚支援学校の職員は、見えにくい方がどのように見えているのかを知っていると誤解されることがありますが、「見る」ということは、感覚であり本人の感じ方なので、残念ながら分かりません。でも、視機能の検査や学習の様子、見る対象への反応等を観察して、「この状況で、これは見える」という見える状況を見つけていくことはできます。教育相談では、実態把握から分かったことを基に視覚支援の様々な情報を提供し、見える状況づくりのお手伝いをします。
 同じように、「見える」ということも、感覚であるため人によって違います。見えるかどうかを確かめるために、「これ、見える?」と質問したことはあるでしょうか。聞かれた人が「見える」と答えたとしたら、それはどのくらい見えているのでしょう。ぼんやりと、あるかないか分かるくらい、はっきりと明瞭に等、様々な「見える」があり、それはとても曖昧です。それでは、どのように質問すると明確な答えが返ってくるでしょうか。「見える?」ではなく、「何が見える」のかを問い掛けてみるのも一つの方法ではないかと思います。例えば、文字ならば、読めるかどうかは一つの指標となるでしょう。
 今回、「見る」「見える」ということについて、お伝えしましたが、ロービジョン支援センターでは、一人一人の見え方について一緒に考え相談し、支援していきたいと思っております。不安に感じていること、気になっていることがある方、保護者、関係者の皆様は、お気軽に御相談ください。

 

ロービジョン支援センター~各班の取り組み~
【教育相談部門】
<乳幼児支援班>
 乳幼児支援班では、0歳から就学前までのお子さんと保護者の方、関係機関の方を対象に、子育てや保育、発達に関する相談・支援を行っています。「よつば教室」(定期教育相談)では、一人一人の発達段階に応じた遊びの中で、「見る」「確かめる」楽しさや、保有を大切にしています。個々のニーズや課題に基づいて支援内容や回数を決め、相談・支援にあたります。
 保護者の方に対しては、育児相談や保護者学習会を企画し、お子さんの生活の充実と進路について一緒に考えていきます。幼稚園・保育園等に対しては、お子さんのより良い環境づくりや進路選択について、関係機関と連携しながら支援にあたります。
 今年度は8月1日(水)に「ちびっこサマースクール」を実施し、お子さんには様々な感覚を使う楽しさを味わう活動を、保護者・関係機関の方々には、個別面談や学習会の場を提供する予定です。
<児童生徒支援班>
 県内の小・中学校等に在籍する児童生徒の皆さんや保護者の方、担任の先生を対象として、視覚補助具の使い方や目と手の協応動作、主体的に情報を入手するための方法など、視覚に関する様々な情報提供を行っています。「センター教室」では県央地区を、「サテライト教室では県北、県南地区での指導や支援を行います。
 今年度は、8月4日(土)に「サマースクール」を行う予定です。児童生徒の皆さんが互いに交流しながら、五感を使ったり視覚補助具を活用したりできるような活動を計画しています。また、保護者や関係者の方々を対象とした学習会も行う予定です。
<生活情報支援班>
 視覚に障害のある成人の方に対する相談・支援活動を行っています。
 視覚支援や情報提供を行う「あいサポート教室」では、火曜日と木曜日を開講日とし、「音声パソコンなどの情報機器の操作」、「白杖や手引きによる歩行訓練」、「便利グッズや電子レンジを使った調理」などについて学ぶことができます。受講生や卒業生が交流する機会として、あいサポート教室合同講座を実施しています。今年度は、フラワーアレンジメント(6月19日)や調理活動(11月頃)を計画しています。
【地域支援部門】
<研修支援班>
 研修支援班では、視覚障害の理解啓発や、視覚障害児者を支援する方々を対象とした研修会等を実施し、支援を行っています。主に視覚支援担当者への研修会、白杖歩行・生活サポート講習会、サマースクール、ウィンタースクールの保護者学習会、福祉授業、ボランティア養成講座などを実施します。
 視覚支援担当者研修会では、地域に在籍する子どもたちの指導に関わる教師や保護者の方々を対象に、見え方や学習環境などについて情報交換を行います。白杖歩行・生活サポート講習会では、山王ライオンズクラブの方々と協力し、地域の視覚障害の方を対象に、日常生活の様々な場面におけるスキルアップを目指し、白杖歩行体験や調理体験を中心とした講習会を実施しています。サマースクールでの保護者学習会では、公共の交通機関の利用についての情報交換を行っています。
 福祉授業では、小中学生を対象に、視覚障害疑似体験、点字体験などを通して、視覚障害について理解啓発を行います。
 ボランティア講座では、視覚障害者の見え方の違いについての講義や点字等の体験を通して、視覚障害の方々を支援するボランティア養成につなげています。
 今年度の取り組みとしては、4月27日(金)秋田大学の授業協力、5月30日(水)に視覚支援担当者研修会、6月9日(土)に白杖歩行・生活サポート講習会、8月にはボランティア講座、サマースクールの保護者研修会などを予定しています。こうした活動を通して広く啓発を進め、支援に努めていきたいと考えています。
<広報班>
 ロービジョン支援センター報「クローバー」(本紙)の発行と学校ホームページ上での情報発信を行っています。教育相談の様子、視覚支援機器等の情報、書籍の紹介など、相談や支援をする上で参考となる情報の掲載に努めていきますのでご活用ください。

 

「秋田県版スマートサイト」ってなんだろう?
 スマートサイトと聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。インターネットサイトのこと?格好いいサイトってこと?…いえいえ、実は、このリーフレットのことを指しています。さて、このスマートサイトですが、現在、全国各県で続々と作成され始めています。
 2005年にアメリカの眼科学会が推進プロジェクトを立ち上げたのが始まりでした。見えにくい方が、相談支援先の情報を得て、社会参加や社会復帰につなげていくことが大きなねらいです。日本には、2007年に導入され、各県で様々な様式で作成されています。
 本県でも見えない見えにくい方への支援システムの構築を目指し、医療、福祉、労働、教育、当事者団体、ボランティア団体等の関係機関で「秋田県スマートサイト推進委員会」を設立しました。本校は、スマートサイト推進委員会の事務局として平成28年度から運用に向けて携わっています。作成したスマートサイトは、秋田県内各地の眼科、市町村の福祉課、ハローワーク、視覚障害者協会、点字図書館などで配付しています。
 今年は、運用して2年目に入るわけですが、広く視覚障害者の方に活用していただけるように、これからも様々な場で紹介していきたいと思います。詳しくは視覚支援学校ホームページをご覧ください。

 

御相談のお問い合わせは
秋田県立視覚支援学校ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
相談支援担当 長崎雪子・渡部麗子・佐藤加奈子・佐藤友紀子

 

本文はここまで

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