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クローバー7号(3月7日)

「四つ葉のクローバー」
教頭 大山 美香

 クローバーとは、和名で白詰草と言います。幼少の頃、田植えが始まる前の田んぼの端で抱えきれないほどの白詰草の白い花や赤い花を摘み、花冠を編んだことを思い出します。幾重にも束ねられた茎は意外に丈夫で、早春の野で遊ぶ女の子たちの頭を飾り、誇らしげに風に揺れていました。それは、懐かしく暖かい思い出です。
 クローバーの葉には、意味があるそうです。それは、国によって異なるようですが、日本では「希望」「信仰」「愛情」、4枚目の葉は「幸福」と言われていると雑誌に書かれていました。きっと、多くのみなさんが、たくさんのクローバーの中から四つ葉のクローバーを探した経験をお持ちだと思います。そして、目当ての四つ葉を見つけたときのうれしかった気持ちを覚えておられることと思います。
 本校では、ロービジョン支援センターの業務に全校職員で取り組み、視覚に障害のある方々への支援を行っています。見えづらいことで悩みや困り感をお持ちのご本人や、ご家族、学校や職場やみなさまに、私たちがもっている情報をお届けし、お一人お一人を支えていきたいと願っております。しかし、必要な情報を、みなさまにきちんと届けることができているのか、不安に感じることもあります。
 今年度から、秋田県眼科医会、秋田山王ライオンズクラブをはじめ、医療、福祉、労働、教育が連携し、視覚に障害のある方々に役立つ情報を提供するためのスマートサイトの運用を開始しました。この成果について、これから調査を行い、より細やかな支援ができるように改善を図っていきたいと考えています。また、秋田中央交通のみなさまからご協力いただき、本校にて本物の路線バスの車両を使用した学習を行い、バスの構造、乗降の仕方など、普段はじっくりと確認できないことを学ぶことができました。加えて、県内の弱視学級を設置する学校や担任の先生方からも多くのご協力をいただき、サテライト教室やセンター教室等を運営することができました。
 今後は、こうした連携の輪をさらに広げ、お一人お一人に必要な情報や支援を確実に届けていきたい、たくさんある情報の中から、お一人お一人が必要な情報を見つけ出し、アプローチできるような環境を整えていきたいと思っています。私たちは、容易に探し出し活用することができる、四つ葉のクローバーでありたいと願っています。

視覚障害者と防災
~安全・安心が第一 そのために築く信頼関係~
避難所では、「周辺の状況が把握できない。」「トイレに行くとき、大勢の中をかき分けてたどり着くのは一苦労。」「白杖を使っていたら、周囲が手助けしてくれた。」これらは、東日本大震災や熊本地震を経験した視覚障害者の生の声です。
避難所生活では、地域の方々の支援を受けながら、自分たちからも「大丈夫ですか?」などの声をかけたり、目が見えにくく十分な協力ができなかったとしても、できる範囲で避難者同士が助け合ったりしていたといいます。
私たち視覚障害者は、自分は目が見えない、見えにくいということを恥ずかしがらずに積極的に周囲に発信した方がいいと考えます。その上で、社会とのつながり、相互の助け合い、信頼関係を築いていくことを普段から意識していかなければならないと感じます。

視覚に障害がある人の備え
【普段から気をつけておくこと】~白杖は安全確保の重要な道具~
●白杖と点字版の置き場所は決めておく。(すぐに持ち出せる。)
●外出時には白杖を持つ。(白杖は支援のサインにもなる。)
●「災害時要援護者名簿登録制度」について確認する。
●地域の人たちに自分の障害について知ってもらうこと
●災害時に役立つグッズを備えておく。

視覚障害者用防災グッズの特徴
一般的な備えに加え、蛍光色で目立つメッシュ生地のベストと緊急呼笛がセットになったものがあります。自らの存在をアピールして、危険を防ぎ、介助が受けやすくなります。また、声を出せない、目が届かない状況でも、助けを知らせるための工夫がされています。

視覚障害のある方を支援する時
【大切なこと】~本人の希望に合った介助を~
本人の希望に合った誘導をするために、本人の視力や身体の状態を聞き、安心できる側に立つことが肝要です。そして肘や肩のあたりを持ち、介助者が半歩前を歩きます。また、階段や段差では、手前で止まり、「上り」「下り」を伝え、段差が終わったらもう一度止まり、終わったことを伝えます。  

【緊急時の支援】~こまやかな状況説明と安全な移動を~
視覚障害者は周囲の状況を把握しにくいので不安です。災害時においては、障害物の状況及び回避の方法を具体的に伝え、不安を取り除きながら誘導します。また、可能な限り、歩き慣れた道を通るとよいでしょう。歩き慣れていないところであれば、状況をこまめに説明することが必要です。

視覚障害について理解してほしいこと
視覚障害といっても見え方には個人差があります。そのため、周囲の情報や意思の伝わり方のスピードにも差が出てきます。従って、少しの変化が事故につながる恐れがあるのです。いつもどおりの環境も、災害時には危険な場所になってしまいます。

【緊急時の影響】
急激な状況変化を察知しにくいため、周りの人が災害の規模や様子を言葉で知らせる必要があります。避難誘導や避難場所では、進行方向だけでなく足元や頭上の障害物についても細かく伝え、周囲の状況をイメージできるようにすることが大切です。また、本人から離れるとき(別れるとき)も、周囲の状況を説明してから、離れる(別れる)ようにすることが望ましいと思います。

 …だけど
最終的には、障害のあるなしに関わらず、「自分の身は自分で守る。」それは、自分を守れば、家族を守る行動に移れる。そして、近隣や地域を守る行動につながっていく。まず、自分の身を守る備えから始めたいですね。

平成29年度ロービジョン支援センターの活動状況(2月末現在)
項目、名称、対象・活動内容等、対象者数・実施回数の順で記載
1.教育相談、視覚に障害がある方とその御家族、29名54回
2.定期教育相談
2-1よつば教室、乳幼児を対象、2名33回
2-2センター教室、小、中学生、高校生を対象、4名4回
2-3あいサポート教室 成人の方を対象 5名46回
3.サテライト教室、遠方のため本校に来校しての相談が難しい方に対して、
各地域の学校等と連携を図りながら支援活動を実施。
3-1大仙・仙北地区、4名11回
3-2大館・鹿角地区、4名12回
3-3由利本荘・にかほ地区、3名12回
3-4橫手・湯沢地区3名3回
4.要請訪問等、学校訪問し、授業参観、協議(ケース会)、視覚障害教育に係る情報提供を行う。
4-1要請訪問、10園・校/14回
4-2特別支援教育セミナー、3校6回
4-3高等学校特別支援隊、1名1回
5.交流、体験学習支援
5-1ちびっこサマースクール、水遊び、7/29実施
5-2サマースクール、バスの乗り方、買い物学習、8/ 2実施
5-3ウインタースクール、視覚支援学校の学習(体験)、1/11実施
5-4 あいサポート教室合同講座、茶道、和スイーツ作り、2回実施
6.研修会、講習会等の開催
6-1視覚支援担当者研修会、※同日開催:秋田市特別支援学級担任研修会
6-2白杖・生活サポート講習会、※共催:秋田山王ライオンズクラブ
6-3かがやきの丘ボランティア養成講座、※エリア3校合同
6-4ロービジョン研修会、※北東北3県盲ネットワーク
7.地域の研修会等への講師派遣
7-1秋田県立支援学校天王みどり学園のボランティア講座への協力
7-2障がい者支援施設ほくとのボランティア養成講習会への協力
7-3秋田県聴覚障害者支援センターの盲ろう者通訳介助者養成講座への協力
8.理解啓発活動
8-1ロービジョン支援センター便り「クローバー」、7回発行
8-2秋田駅東西連絡通路「ぽぽロード」での点字ブロック啓発ティッシュの配付
8-3各種リーフレットの配付
8-4ロービジョン支援センター、早期教育相談、理療科、秋田県版スマートサイト
 

御相談のお問い合わせは 
秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへ御連絡ください。 
相談支援担当  菊地雄平・長崎雪子・渡部麗子・佐藤加奈子・佐藤友紀子

本文はここまで

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