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クローバー7号(12月1日)

●視覚障害者と文字~筆記用具の工夫
本校の弱視職員に、筆記用具についてインタビューしました。
Q 見え方について教えてください。
A 視力は0.1くらいです。視野は机の上で1cm四方くらいが見えています。
Q どんな筆記用具を使っていますか?
A 紙面が黒いブラックノートと白インクのボールペンを使っています。
仕事やプライベートでメモを取るので、いつも肌身離さず携帯しています。
Q 気に入っているポイントは?
A 背景が黒なので白い文字がしっかり認識できます。そのため一部でも記入があればすぐに気づきます。また、らせん状の針金で綴じられたノートなので使用ページを開いて持ち歩けます。
Q 書き心地はどうですか?
A 表面が適度にざらついているのでインクが出やすく自由に書けます。紙質も厚いので文字が裏写りすることもありません。ボイスレコーダーやタブレット端末を使ってもメモはできますが、自分自身で文字を書く喜びを味わえることがノートとペンの魅力です。
Q 工夫していることは?
A 罫線を引くことで、いろいろな情報を区切って整理しています。また大切なところには★印を記入して、探しやすくしています。使い始めて6年くらい経ちました。ノートは30冊、ペンは100本ほど使いました。これからも愛用していきたいと思います。

・VISUAL EASE ブラックB5判40枚 価格:400円 メーカー:社会福祉法人東京光の家
・ユニボールシグノ太字UM153 1.0mm ホワイト 価格:150円 メーカー:三菱ペンシル

 

●ワンポイントアドバイス~会話編~
1 言葉を大切にしましょう! 「どっちなの?」・・・「こそあど言葉」
 私たちは、会話の中で「あれ」「これ」「それ」などの指示する語を抵抗なく使います。そして、「そっち」「こっち」などの『こそあど言葉』で説明されても、互いに同じものを見ていることを前提にしているので、違和感をもつことなく聞くことができます。しかし、見えない見えにくい方が、場所やものの位置を示す場合に、「あっち」「こっち」「そっち」などの言葉を使って説明されても、「あっち」も「そっち」も区別がつかないので困ってしまいます。「そこの角を曲がるとすぐですよ」といわれても『そこの角』が分かりません。親切に店の前まで案内されても「こちらのお店です」と言われると『店の入り口』が分かりません。ですから、「薬屋さんの角を・・・」「正面が入り口・・・」と具体的な説明を心がけたいものです。
 これは、授業の中でも心がけたいことです。もし、理科の実験で教師が「この容器に、水をこのように入れて、そちらの薬品を・・・」と説明してしまったら、見えない見えにくい子、注目していることが苦手な子は、間違った方法で実験をしてしまうかもしれません。私たち視覚障害教育に携わる教員は、「あいまいな言葉」を使った説明をしていないか常に確認することが大切です。

2 「会話で歩く」
 見えない見えにくい方が歩くとき、自分の身の安全を守るために、適切な白杖操作が必要です。また、通学や通勤などで単独歩行をする場合は、自宅から目的地までのルートを覚えたり、バスや電車に乗降する技能を身に付けたりする必要があります。
 本校勤務の全盲の職員は、白杖操作を駆使して毎日、職場である学校まで通勤しています。白杖操作はエキスパートですが、その方でも初めての場所は、一人で移動することは難しいといいます。こんな時は、人に尋ねたり、ガイドを依頼したりするそうです。安全に移動す
るためには、人とのやりとりするためのコミュニケーション能力を高めることも大切なことなのです。
 〈参考図書:アリみえカルタ静岡ビジョンの会〉

 

●よつば教室の取組
 よつば教室では、0歳児~5歳児までの見え方に不安のあるお子さんやその保護者の方、関係機関の方を対象に継続的な相談・支援を行っています。今年度のよつば教室の取り組みについて御紹介します。

【お子さんへの支援】
(1)よく見ようとする気持ちを育む支援
 できるだけはっきりした色・分かりやすい形のものを見る経験を積み重ねることを大切にしています。提示するおもちゃや絵本を選定し、工夫を加えて見やすい状況づくりに努めています。
(2)様々な感覚を使うことを楽しむための支援
 見ることだけでなく、触ること、聞くこと、味わうことなど、様々な感覚を使って遊ぶ楽しさを味わえるような活動を設定しています。見た目は同じでも、持ったり振ったりすることで違いが分かるおもちゃを活用しています。また、「つるつるしているね」「重いね」等ものの状態を表す言葉を伝えたり、お子さんの行動に合わせて「ひっぱる」「またぐ」等の動き言葉を伝えたりすることも大切にしています。
(3)「もっとやりたい!」「自分でやりたい!」気持ちを育む支援
 お子さんが遊びに思う存分取り組み、自分の力で操作したり、試行錯誤したりする姿が見られるよう、お子さんの気持ちに寄り添いながら、共に遊ぶことを大切にしています。

【家族の方への支援】
(1)子育てに関する支援
 生活リズム、離乳食、お子さんへの働きかけ等、子育て全般についての相談に応じています。保護者の方がもつ「お子さんの見え方」への悩みや不安を受け止め、同時に、乳幼児期に重要な「言葉やスキンシップを介して家族と関わることの大切さ」をお伝えしています。乳幼児期は、母子の愛着関係を基盤に、人やものとの関わりを拡げていく時期です。身近な大人の言葉がけや働きかけが、「様々なものに興味・関心をもつ子ども」を育てていきます。視覚だけでなく、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、運動感覚等、様々な感覚を使う楽しさをお子さんと一緒に味わうためのポイントやコツをお伝えしています。
(2)見やすい・理解しやすい環境づくりに関する支援
 御家庭でのお子さんの様子をお聞きし、安全で安心できる環境づくりのアドバイスをしています。見やすい・理解しやすい家具の配置や目印の付け方等の相談に応じ、お子さんが伸び伸びと生活するためのお手伝いをしています。

 

●教材・教具の紹介
(1)バリアフリーカレンダー2017 カラータイプ
 上下に開く壁掛け用のカレンダーで、白地に灰色とオレンジ色の文字で印刷されています。日曜日と祝祭日はオレンジ色で点線で下線が引いてあり、そのほかの日や月、曜日は灰色で書かれています。また、毎月の祝日がオレンジ色の文字で、カレンダーの下部に印刷されています。昨年のものに比べて少し文字が大きくなっています。最終週で月が切り替わる場合、その週の翌月の部分は中点が書かれています。曜日は英語表記の頭文字で、月は数字と英語の最初の3文字が書かれています。印刷されている文字は、型を使い凹凸を付け、文字を浮き上がらせる「フォアフィンガー書体」を使っています。そのため、文字が少し浮き出ているので、指で触ると形が分かります。図版や絵柄は無く、白地に文字だけのシンプルでおしゃれなデザインです。販売価格3,455円
(2)デジタルボイスレコーダーG-Speak
 付属のシールにペン先をあて、メモ録をするタイプのボイスレコーダーです。メモ録後にペン先でシールに触ると録音したメモ録を再生します。お薬や食材など日常的にご利用になるモノへの「名前付け」、「声の備忘録」として活用できます。単4型アルカリ乾電池2本で動作します。付属のUSBケーブルで録音した音声をパソコンに保存することが可能です。
大きさは(幅)25×(奥行)23.5×(高さ)162.3mm、重さは65gです。販売価格10,000円
お問い合わせ先:日本点字図書館わくわく用具ショップ
 

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