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クローバー6号(10月27日)

●視覚障害者と食事~楽しく食事をするために~
 ロービジョンの私にとって、食事は楽しみの一つです。
 でも、ちょっとだけ困る事があります。それは・・
①メニュー表示が見えない。
②目の前に何があるのかがわからない。
③どこにあるのかがわからない。
④バイキングは一切れの大きさがわからないので取れない。
 この問題を解決するには・・・
①メニューの説明・確認
店頭や着席後のテーブルでは、読み上げを依頼します。(出来れば全部、多ければジャンルごとに分けて)。ホームページ等で事前にメニューを確認します。
②物の説明・確認
調味料のボトルや小袋、おかずの種類等の説明を依頼します。
③位置の説明・確認
プレートを時計に見立てて位置を説明(クロックポジション)、仕切りが付いているお弁当などは区画ごとに大まかに分割し説明してもらいます。
④バイキングは取ってもらうよう援助を依頼します。
 もう一つ心配なことがあります。それは・・・
一緒に食事をしている人と自分の食事のペースが合っているかということです。周りの状況確認が困難なため、つい自分のペースになりがちです。また、食べ残しも教えてもらえると助かります。さりげない声掛けも助かるかもしれません。
 みんなで楽しく美味しい秋を満喫しましょう。〈小松由佳〉

 

●iPhoneの便利なアプリケーションの紹介
iPhone用のアプリには便利なものが多くあります。今回は全盲の私がiPhoneを使っていて、視覚障害者にとって便利に使えると感じたアプリをいくつか紹介します。
1 マネーリーダー
紙幣にiPhoneのカメラを向けると、瞬時に認識し、その紙幣が何であるかを音声で教えてくれるアプリです。私はできるだけ紙幣を財布の中で種類ごとに分けるようにしていますが、このアプリを使うようになってからお金の整理が楽になりました。また、海外の紙幣も認識できるようなので、海外に行くことがあれば試してみようと思っています。
2 Amazonアプリ
インターネットショッピングサイトAmazonのアプリに便利な機能があったので紹介したいと思います。それは「スキャンして検索」という機能です。この機能は、キーワード検索の代わりに身の回りにある物をiPhoneのカメラでスキャンすることによって簡単にAmazon上で同じ物を探せるという機能です。しかし、私はちょっと違う使い方をしています。たとえば「この箱は何のお菓子だっけ?」こんな時はスキャンして検索機能の出番です。カメラをお菓子のパッケージに向け数秒待つと、すぐに検索結果が表示され、そのお菓子が何なのかを知ることができます。Amazonで取り扱っていない商品は認識できませんが、身の回りにある大部分の物をスキャンして確かめることができ、私は大変便利に使っています。
3 TapTapSee
このアプリは写真に写した物の外観を音声で教えてくれるアプリです。たとえば服を撮影すると「○○色、○○柄のシャツです」というように見た目を詳しく説明してくれます。撮影から認識結果がわかるまで1分ほどかかってしまいますが、色や柄について教えてくれるので便利です。自分の持っている物の見た目を改めて確かめることや衣類の整理に役立っています。
4 レコグナイザー
こちらはあらかじめ調べたい物を撮影・登録しておき、認識させることができるアプリです。どうしても点字のシールを貼ることのできないカード、形は似ているけど色の違う服等に力を発揮します。そのようなものは事前に撮影し「X店のポイントカード」「黒のシャツ」というように名前を登録しておきます。そうすると、登録されている物がiPhoneのカメラに向けられた際に、登録しておいた名前を読み上げてくれるのです。私の友人には、このアプリを利用して晴眼者とカードゲームを楽しんでいる方もおり、数百種類のカードを登録していても誤認識はほとんどないということでした。個人で認識させたい物を選択できることから、各ニーズによって様々な使い方ができるアプリとなっています。<工藤輝希>

 

●ワンポイントアドバイス~教室編④~生活科・理科
(1)じっくりと自然に触れることから始まる学習
 生活科や理科の授業では、日常生活の中で子ども達がすでに体験しているであろう身近な事象や自然現象を導入として展開することがあります。
 しかし、弱視の子は、その事象や現象に触れた経験がなかったり、体験していても気付いていなかったりすることが多くあります。
 そのため、身近な事象について先生の話を聞いたり、教科書に掲載されている自然の絵や写真を見たりしても、具体的な自然のイメージをすることが難しく、スムーズに学習に入っていけないことがあります。まずは、本物に触れ感じることを大切にしましょう。
 また、見えにくさのある子のほとんどは夜空の星を直接見ることはできません。しかし、子ども自身で見ることはできなくても、家族や友だちと一緒に夜空を眺める体験は、天体に対するイメージをより具体化することができます。ぜひ、見えにくいから体験をしないのではなく、使えるあらゆる感覚を使って体験することを大切にしましょう。
(2)プロセスが分かる工夫
 視覚に障害のある子の中には、ある現象、変化のプロセス、関連性を知らないまま大きくなっていく子もいます。例えば、小麦粉とパンが結びついていなかったり、魚と切り身が同じだと分からなかったり・・・「切り身が海を泳いでいる?」と思っていて周囲を驚かせることもあります。
 可能な限り変化のプロセスを丁寧に伝えたり、体験する場面を設定したりしましょう。
(3)見やすい・分かりやすい環境
①教師による演示実験の場合、弱視の子は、他の子どもと同じ位置から実験を見ることは難しいです。また、弱視の子が見ようと顔を近づけると、実験によっては危険であったり、他の子の視界を遮ってしまったりすることになります。このような場合は、ビデオカメラを設置して手元のモニターで見られるようにしたり、タブレット端末を活用したりする方法があります。また、他の児童生徒とは反対側(演示用実験机を挟んで教師側)で安全を確保して見られるようにすることもできます。
②弱視の子をサポートできる教員等がいる場合には、実験で使用している器具と同じものを準備して、その教員が演示実験をしている様子を適宜、伝えたり、器具を触るように促したりすることも有効です。
参考図書 小・中学校における視力の弱い子どもの学習支援

 

●小中学生のための体験学習(視覚障害)
○男鹿市立潟西中学校
 10月17日(月)に中学3年生26名を対象に体験学習を実施しました。
 体験学習では、視覚障害者には全盲の方だけではなく見えにくい弱視の方もいること、そしてその見え方を学習しました。また、視覚に障害があることで、できないことや困難なこと、視覚に障害があってもできること等、視覚障害疑似体験を通じて確認しました。アイマスクを装着しての手引き歩行体験等も行い、見えないことでの不安感やどういう声かけを行えば安心してもらえるか等を考えてもらいました。
 学習後は生徒たちから、もう一度自分たちで疑似体験を行い見えない方、見えにくい方のことについて深く理解していきたいという感想を聞かせてもらいました。今後とも、体験学習を通して視覚障害について理解啓発を行っていきたいと思います。
○秋田市立寺内小学校
 10月18日(火)に小学4年生56名を対象に体験学習を実施しました。
 寺内小学校の児童が本校を来校し、学校内を見学したり、点字の学習をしたり、盲導犬についての話を聞いたりしました。学校内の見学では、廊下に点字ブロックがあることや、廊下の端の色や材質が異なること、点字図書や拡大読書器など、自分の学校と違う部分に気付き、興味深そうに観察している様子が見られました。点字の学習では、点字板に点字用紙をセットし点字を一生懸命打って、児童同士で称賛し合っていました。盲導犬の学習では、実際に盲導犬が仕事をしている様子をみて、その仕事ぶりに感心したり、盲導犬の仕事内容を熱心に聞いたりする様子が見られました。
 子どもたちからは、視覚障害者の方がどうやったら安心して過ごせるのか考えていきたいという声が聞かれ、視覚障害の特性について興味関心が高まっているようでした。<河嶋真>

 

御相談のお問い合わせは秋田県立視覚支援学校ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
相談担当 菊地雄平 佐藤加奈子 長崎雪子 落合久貴子
 

本文はここまで

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